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電子帳簿保存法のスキャナ保存とは?紙の書類を電子化する実務

更新:2026年6月12日5分で読めます電子帳簿保存ソフト

紙で受け取った領収書や請求書を、スキャンしてデータで保存する。これが「スキャナ保存」です。中小企業の経理現場でも、紙の山をどう減らすかは長年の悩みではないでしょうか。結論からお伝えすると、スキャナ保存は電子帳簿保存法という法律のルールに沿って進めれば、紙の原本を保管し続ける負担を大きく減らせる制度です。ただし、満たすべき要件があるため、仕組みを理解してから始めることが大切です。この記事では、制度の考え方と実務の進め方を、専門用語をかみくだきながら整理します。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・法務上の助言ではありません。電子帳簿保存法の要件は改正が重ねられており、解像度や保存期間などの具体的な数値・取り扱いは変更される場合があります。実際の対応にあたっては、必ず最新の国税庁の情報や、顧問税理士などの専門家にご確認ください。

スキャナ保存とは何か

スキャナ保存とは、紙で受け取った国税関係書類(領収書・請求書など、税金の計算の基礎となる書類)を、スキャナやスマートフォンのカメラで読み取り、画像データとして保存する制度です。要件を満たして保存すれば、紙の原本そのものを長期間保管し続ける必要が薄れる点が、最大のメリットといえます。

なぜこの制度が中小企業にとって重要なのでしょうか。理由は、紙の保管コストと検索の手間にあります。キャビネットを占有する書類は、年々増え続けます。データ化できれば物理的な保管場所が不要になり、必要な書類を素早く探し出せるようになります。

たとえば、取引先から郵送された請求書をスキャンして保存し、原本は社内ルールに沿って処理する、といった運用が考えられます。こうした流れを正しく回すために、後述する要件を押さえておく必要があります。

電子取引データ保存との違い

混同しやすいのが「電子取引データ保存」です。これは最初からデータでやり取りした書類(メール添付のPDF請求書、Web上でダウンロードした領収書など)を、データのまま保存することを指します。両者はよく似ていますが、対象となる書類の「入り口」が違います。

ポイントは、紙で受け取ったかデータで受け取ったか、という点です。紙で受領したものを後からデータ化するのがスキャナ保存、もともとデータで受領したものをそのまま保存するのが電子取引データ保存です。前者は任意の取り組みである一方、後者は原則としてデータでの保存が必要とされている点も、大きな違いです。

項目スキャナ保存電子取引データ保存
対象書類の入り口紙で受領した書類最初からデータで受領した書類
具体例郵送された紙の請求書・手渡しの領収書メール添付PDF・Web発行の領収書
保存方法スキャン/撮影して画像で保存受け取ったデータをそのまま保存
取り組みの性格任意(紙保存も可)原則としてデータ保存が必要

自社の書類がどちらに当たるかを仕分けることが、対応の第一歩になります。判断に迷う場合は、当サイトの無料診断で大まかな整理の見当をつけることもできます。

スキャナ保存の主な要件の考え方

スキャナ保存には、データの信頼性を担保するための要件が定められています。考え方を理解しておくと、システム選びがぐっと楽になります。なぜなら、要件の多くは「いつ・誰が・何を保存し、後から改ざんできないか」を担保するための仕組みだからです。

代表的な要素は、次の3つに整理できます。第一に、タイムスタンプ(その時刻にデータが存在し、改ざんされていないことを証明する技術)の付与、または訂正・削除の履歴が残るシステムでの保存です。第二に、定められた入力期間内にデータ化することです。第三に、検索要件として、取引年月日・取引金額・取引先で検索できるようにすることが求められます。

要件の柱一般的な考え方
改ざん防止タイムスタンプの付与、または訂正・削除の履歴が残るシステムで保存
入力期間受領後、定められた期間内にデータ化する
検索性日付・金額・取引先で検索できるようにする
見読性ディスプレイやプリンタで明瞭に確認・出力できる状態にする

ここで注意したいのが、解像度や入力期間などの具体的な数値です。これらは過去の改正で見直されており、今後も変わる可能性があります。具体的な数値や最新の取り扱いは断定せず、必ず国税庁の最新情報でご確認ください。

JIIMA認証という目安

要件を一つひとつ自社で確認するのは、専門知識がないと負担が大きいものです。そこで目安になるのが「JIIMA認証」です。JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)が、市販ソフトが電子帳簿保存法の要件を満たしているかを確認し、満たすと判断した製品に認証マークを付与する制度です。

なぜ目安になるのでしょうか。理由は、要件適合のチェックを第三者が代わりに行ってくれるからです。認証を受けた製品を選べば、自社で機能要件を細かく検証する手間を軽減しやすくなります。

たとえば製品を比較する際、JIIMA認証の有無を確認材料の一つにすると、絞り込みがしやすくなります。ただし認証はあくまで機能面の目安であり、実際の運用ルールが要件を満たすかは別途確認が必要です。

導入手順とサービスの活用

実際の導入は、段階を踏むとスムーズです。結論として、いきなり全社展開するより、対象書類を絞って小さく始める方が失敗しにくくなります。理由は、運用ルールの不備が早期に見つかり、修正しやすいからです。

一般的な流れは次のとおりです。第一に、対象書類とスキャナ保存・電子取引データ保存の仕分けを決めます。第二に、社内の事務処理規程やフローを整えます。第三に、JIIMA認証などを参考にシステムを選定します。第四に、試験運用で問題点を洗い出し、本格運用に移します。

ここで活用したいのが、経費精算サービスや請求書受領サービスです。多くのサービスがスキャナ保存に対応しており、撮影・保存・検索までを一つの仕組みで完結できます。たとえば、invox電子帳簿保存、TOKIUM経費精算、楽楽精算、Bill Oneなどが知られています。自社の書類量や既存の会計ソフトとの相性を踏まえて検討するとよいでしょう。

どのサービスが自社に合うか迷う場合は、当サイトの無料診断をご利用ください。書類の種類や業務の流れに合わせて、検討の出発点を整理する手助けになります。

まとめ

  • スキャナ保存は、紙で受領した領収書・請求書をスキャン/撮影してデータ保存する制度で、紙の保管負担を減らせます。
  • 最初からデータで受け取った書類を扱う「電子取引データ保存」とは、書類の入り口が異なります。
  • 主な要件は、改ざん防止(タイムスタンプ等)・入力期間・検索性(日付/金額/取引先)の3つが柱です。
  • 解像度や期間などの具体的な数値は改正される可能性があるため、必ず国税庁の最新情報で確認してください。
  • JIIMA認証は要件適合の目安になり、製品選びの判断材料として役立ちます。
  • 導入は対象書類を絞って小さく始め、経費精算・請求書受領サービスの活用も有効です。

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出典・参考

経理コンパス編集部

業務系SaaS(会計・勤怠・CRM)の利用・導入支援の経験/不動産業界での実務経験

中小企業の経理・バックオフィス担当者が、本当に自社に合うクラウドソフトを選べるように。公式情報と実際の使用感、そして制度(インボイス・電子帳簿保存法)への対応状況を、できるだけ中立に整理して発信しています。

※本記事は各サービスの公式情報および公的機関の公表資料をもとに作成しています。

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