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電子帳簿保存法に対応しないとどうなる?罰則・リスクと最低限の対応

更新:2026年6月22日6分で読めます電子帳簿保存ソフト

メールに添付されたPDF請求書やWeb上でダウンロードした領収書、これらをそのまま印刷して紙で保管していませんか。電子帳簿保存法のもとでは、こうした「電子取引データ」は原則としてデータのまま保存することが求められています。対応を後回しにすると、税務上のリスクが生じる可能性があるため、早めに最低限の備えをしておくことが大切です。本記事では、対応しない場合に考えられるリスクと、中小企業がまず取り組むべき最低限の対応を整理します。

本記事は中小企業の経理担当者向けに一般的な情報を分かりやすくまとめたものです。税務上の取扱いは個別の事情や制度改正によって変わる場合があります。具体的な判断にあたっては、必ず顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。正確な要件は国税庁の公式情報をご参照ください。

電子帳簿保存法とは何か

電子帳簿保存法(電帳法)とは、帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。大きく分けて「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの区分があります。このうち最初の2つは任意ですが、3つ目の電子取引データ保存は原則として対応が必要な点に注意が必要です。

ここで言う「電子取引」とは、請求書や領収書などのやり取りを電子データで行う取引のことを指します。具体的には、メールに添付して受け取ったPDF請求書、ECサイトや経費精算サービスからダウンロードした領収書、クラウド上で受領した契約書などが該当します。これらは紙でやり取りした書類とは扱いが異なります。

理由は、電子取引データ保存が法律上の原則となっているためです。以前は電子で受け取ったデータを紙に印刷して保存することも認められていましたが、現在はデータをデータのまま、一定の要件にそって保存することが基本とされています。つまり、日常的にメールやWebで請求書・領収書を受け取っている会社は、ほぼすべて対象になると考えてよいでしょう。

対応しないとどうなる?考えられるリスク

電子取引データ保存に対応していない場合、いくつかのリスクが生じる可能性があります。ここで重要なのは、これらは「必ず起きる」ものではなく、あくまで一般論として考えられる可能性だという点です。実際の取扱いは状況によって異なります。

理由として、保存要件を満たしていない状態は、税務上の帳簿書類の保存義務を十分に果たしていないと評価されるおそれがあるためです。たとえば、青色申告(一定の帳簿付けを条件に税制上の優遇を受けられる制度)の承認が取り消される可能性が指摘されることがあります。承認が取り消されると、各種控除などの優遇が受けられなくなる場合があります。

また、税務調査の際に保存状況を指摘される可能性や、記録の不備が他の問題と重なった場合に追徴課税・加算税(申告内容の誤りなどに対して追加で課される税)につながる可能性も、一般論としては考えられます。下表は、考えられるリスクを整理したものです。あくまで可能性の整理であり、断定ではない点にご留意ください。

考えられるリスク内容(一般論)留意点
青色申告の承認取消帳簿書類の保存が要件を満たさないと判断された場合に起こりうる重い措置直ちに取り消されるとは限らず、状況により判断される
追徴・加算税申告の誤りや記録不備が重なった場合に追加の税負担が生じる可能性電帳法の不備のみで自動的に課されるわけではない
税務調査での指摘保存方法や検索性について確認・指摘を受ける可能性事前の備えで指摘リスクを下げやすい

なお、これらの判断は最終的に税務署が行うものです。自社のケースが該当するかどうかは、税理士や国税庁に確認することをおすすめします。

「相当の理由」がある場合の猶予的な取扱い

一方で、すべての会社がすぐに完璧な対応を求められているわけではない、という点も知っておくと安心です。実務上は、要件を満たして保存することが難しい「相当の理由」がある場合に、一定の猶予的な取扱いが設けられてきた経緯があります。

理由は、中小企業をはじめ、社内の体制やシステムがすぐには整わない事業者にも配慮が必要だからです。こうした取扱いのもとでは、データそのものは保存しておき、税務調査などの際にダウンロードの求めや書面の提示にきちんと応じられるようにしておくことが想定されています。ただし、これは「何もしなくてよい」という意味ではありません。

ここで注意したいのは、こうした運用の細かい条件や対象範囲は、制度改正や通達によって変わる場合があるという点です。たとえば「相当の理由」がどこまで認められるかは個別判断になります。したがって、最新の運用については国税庁の公式情報を確認し、不明な点は税理士に相談するのが確実です。

最低限やっておきたい対応

では、具体的に何をすればよいのでしょうか。結論として、まずは「データを消さずに、後から探せる形で残す」ことが基本です。完璧を目指すより、最低限の形を早く整えるほうが現実的です。

理由は、電子取引データ保存では主に「真実性の確保」と「可視性(検索性)の確保」が求められるためです。難しく聞こえますが、中小企業がまず押さえるべきポイントは次の3つに整理できます。

最低限の対応具体的にやることねらい
検索できる形でデータ保存「取引年月日・取引金額・取引先」で探せるようファイル名やフォルダを整理可視性(検索性)の確保
事務処理規程の整備データの訂正・削除の防止ルールを文書化(国税庁にひな形あり)真実性の確保
JIIMA認証ソフトの活用法令要件を満たすと確認されたソフトを使う要件対応の手間を軽減

たとえば、ファイル名を「20260622_50000_〇〇商事.pdf」のように統一するだけでも検索性は大きく改善します。事務処理規程とは、データを勝手に書き換えないための社内ルールを定めた文書のことで、国税庁がひな形を公開しています。JIIMA認証とは、ソフトが電帳法の要件を満たすかを第三者機関が確認した制度で、認証ソフトを選べば自社で細かく判断する負担を減らしやすくなります。

どのソフトが自社に合うか迷う場合は、当サイトの無料診断を使うと、規模や使い方に応じた候補を絞り込みやすくなります。

中小企業はまず何から始めるか

最初の一歩として、まずは「自社がどんな電子取引をしているか」を洗い出すことから始めるのがおすすめです。いきなりシステムを導入する前に、現状把握をするほうが回り道になりません。

理由は、メール添付の請求書、ECサイトの領収書、経費精算サービスの明細など、データの入口を整理しないと保存ルールを決めにくいからです。入口が分かれば、保存先フォルダの作り方や命名ルールも決めやすくなります。まずは数か月分でよいので、どこから何が届いているかをリスト化してみましょう。

そのうえで、保存場所を一本化し、事務処理規程のひな形を整え、必要に応じて認証ソフトの導入を検討する、という順番が進めやすい流れです。ソフト選びの段階では、当サイトの無料診断もあわせてご活用ください。なお、自社の状況が制度上どう扱われるかの最終判断は、税理士や国税庁への確認が前提となります。

まとめ

  • メール添付PDFやWeb領収書などの「電子取引データ」は、原則としてデータのまま保存することが求められています。
  • 対応しない場合、青色申告の承認取消・追徴や加算税・税務調査での指摘といったリスクが生じる「可能性」がありますが、いずれも状況により判断されるものです。
  • 実務上は「相当の理由」がある場合の猶予的な取扱いが設けられてきた経緯があり、最新の運用は国税庁で確認することが大切です。
  • 最低限の対応は「検索できる形でのデータ保存」「事務処理規程の整備」「JIIMA認証ソフトの活用」の3点です。
  • まずは自社の電子取引を洗い出し、保存場所の一本化から始めるのが現実的です。
  • 個別の判断は、必ず顧問税理士または所轄の税務署・国税庁にご確認ください。

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出典・参考

経理コンパス編集部

業務系SaaS(会計・勤怠・CRM)の利用・導入支援の経験/不動産業界での実務経験

中小企業の経理・バックオフィス担当者が、本当に自社に合うクラウドソフトを選べるように。公式情報と実際の使用感、そして制度(インボイス・電子帳簿保存法)への対応状況を、できるだけ中立に整理して発信しています。

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