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NPO・一般社団法人の経理|会費・寄付金・補助金の管理と会計ソフト

更新:2026年7月28日5分で読めます会計ソフト

NPO法人や一般社団法人の経理は、一般企業とは異なる独特の難しさがあります。会費や寄付金、補助金など収入の種類が多く、しかもそれぞれ「お金の出どころ」と「使い道」を分けて記録しなければならないからです。さらに、少人数やボランティア中心の体制で日々の事務をこなすケースも多く、限られた人手でどう正確さと効率を両立するかが共通の悩みになっています。この記事では、非営利法人特有の経理論点を整理しながら、クラウド会計ソフトを使った効率化の考え方までをわかりやすくお伝えします。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の会計処理・税務判断を保証するものではありません。収益事業の判定、課税関係、適用される会計基準は、法人の形態や活動内容によって異なります。最新の取り扱いは内閣府・所轄庁や国税庁の公式情報でご確認のうえ、個別の判断は税理士など専門家にご相談ください。

なぜ非営利法人の経理は複雑になりやすいのか

最大の理由は、収入の種類が多いことです。一般企業なら「売上」が中心ですが、非営利法人では複数の収入が同時並行で発生します。

非営利法人の代表的な収入には、次のようなものがあります。

収入の種類内容の例管理上の主なポイント
会費正会員・賛助会員などの年会費会員区分ごとの入金管理、未納の把握
寄付金個人・法人からの寄付、遺贈使途の指定有無、寄付者への報告
補助金・助成金行政・財団などからの資金対象経費の限定、実績報告、精算
事業収入講座・物販・受託事業など収益事業に該当するかの確認

このように、収入ごとに「誰から」「どんな条件で」受け取ったかが違うため、ひとまとめにせず種類別に記録する必要があります。たとえば補助金は「補助金(助成元から特定の目的のために交付される資金)」であり、対象となる経費や使える期間が決められているのが一般的です。受け取って終わりではなく、後から実績報告や精算を求められる点が、通常の売上とは大きく異なります。

使途が決まった資金は「区分」して管理する

非営利法人の経理で特に意識したいのが、使い道が指定された資金の扱いです。

寄付金や助成金の中には、「この活動だけに使ってください」と用途が決められているものがあります。こうした資金は、自由に使えるお金と混ぜてしまうと、寄付者や助成元の意向に沿っているかを後から説明できなくなります。そこで、用途が制限された資金を分けて把握する考え方が大切になります。

会計のうえでは、こうした区分を「指定正味財産(していしょうみざいさん:使途が特定された寄付などにより増えた財産で、その目的に沿って使うことが想定される区分)」といった形で整理することがあります。一方、用途の縛りがない資金は「一般正味財産」として区別します。

実務上のイメージとしては、次のような整理が出発点になります。

  • 用途指定のある寄付・助成金は、対象事業ごとに記録を分ける
  • 使った経費が、その資金の目的に合っているかを都度確認する
  • 年度末に「いくら受け取り、いくら使い、いくら残ったか」を説明できる状態にしておく

ここで重要なのは、どこまでを区分管理とするかは法人の状況や採用する会計のルールによって変わるという点です。具体的な区分の設計に迷う場合は、自己流で決めず税理士などに相談することをおすすめします。ご自身の法人にどの程度の管理が必要か整理したいときは、当サイトの無料診断で考え方の方向性を確認してみるのもひとつの方法です。

収益事業と非収益事業の区分、そして法人税

非営利法人だから税金とは無縁、というわけではありません。ここは誤解の多いところなので、概念として押さえておきましょう。

NPO法人や一般社団法人であっても、法律で定められた「収益事業(しゅうえきじぎょう:法人税法で課税対象として列挙されている事業の総称)」に該当する活動を行うと、その部分の所得に法人税が課され得ます。たとえば物品の販売や請負など、一定の事業がこれにあたると考えられています。

一方で、本来の非営利目的に沿った活動(非収益事業)は、収益事業に該当しなければ課税の対象外と整理されることがあります。そのため経理では、収益事業とそれ以外を区分して経理する(区分経理)ことが求められる場面があります。

ただし、ここで強調しておきたいことがあります。ある活動が収益事業に当たるかどうかの判定は非常に専門的で、同じような事業名でも実態によって結論が変わることがあります。さらに、一般社団法人には「非営利型」とそれ以外で扱いが異なるといった論点もあります。判定や課税関係は法人形態や活動内容で異なるため、最新の基準は国税庁の情報で確認し、最終的な判断は必ず税理士に仰いでください。本記事の説明はあくまで全体像をつかむための一般的な概念です。

一般企業と異なる報告様式があること

もうひとつの特徴は、決算で作る書類の様式が一般企業と異なる場合があることです。

NPO法人では、「NPO法人会計基準(特定非営利活動法人の会計をわかりやすく示すために民間で策定された会計基準)」に沿って活動計算書などを作成する実務が広く参照されています。これは多くの企業が用いる損益計算書とは表示の仕方が異なり、活動ごとの収支や正味財産の増減を示す構成になっています。

また、所轄庁への事業報告書の提出など、法人形態に応じた手続きが定められています。どの様式で、いつ、どこに提出するかは法人によって異なるため、所轄庁の案内を確認しておくと安心です。様式は改定されることもあるので、毎年の手引きを確認する習慣をつけておきましょう。

少人数・ボランティア体制での経理効率化

最後に、現場で最も切実な「人手不足」への対応です。専任の経理担当を置けない法人は少なくありません。

こうした環境では、クラウド会計ソフトの活用が効率化の助けになります。クラウド会計とは、インターネット経由で使う会計ソフトで、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、仕訳(しわけ:取引を会計上の記録に変換する作業)を半自動化できるサービスです。代表的なものに「freee会計」「マネーフォワード クラウド会計」があります。

効率化したい場面クラウド会計でできること(一般的な例)
入出金の記帳口座・カード明細の自動取込と仕訳候補の提示
担当者の引き継ぎデータがクラウド上にあり共有・引継ぎがしやすい
複数人での分担権限を分けて複数メンバーで入力・確認
報告書づくり入力データから各種帳票を出力

ただし、ソフトを入れれば自動で正しい決算ができるわけではありません。収入の区分や収益事業の扱いといった判断部分は、人が設計する必要があります。ソフトはあくまで作業を軽くする道具であり、方針づくりは専門家の力を借りるのが安全です。自分の法人に合うソフトの選び方や、どこまで自動化できそうかを整理したい方は、当サイトの無料診断もぜひご活用ください。

まとめ

  • 非営利法人は会費・寄付金・補助金・事業収入など収入の種類が多く、種類別に管理することが出発点になります。
  • 用途が指定された資金は、寄付者や助成元の意向に沿って区分して把握する考え方が重要です。
  • 収益事業に該当する活動には法人税が課され得るため、収益事業とそれ以外の区分経理が必要になる場面があります。
  • NPO法人会計基準など一般企業と異なる報告様式があり、所轄庁への提出書類も法人形態で異なります。
  • 収益事業の判定・課税関係・会計基準は法人ごとに異なるため、最新情報は所轄庁・国税庁で確認し、判断は税理士へ相談してください。
  • 少人数体制ではクラウド会計(freee会計・マネーフォワード クラウド会計)が効率化に役立ちますが、判断部分の設計は人が担う必要があります。

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経理コンパス編集部

業務系SaaS(会計・勤怠・CRM)の利用・導入支援の経験/不動産業界での実務経験

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