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民泊収入の確定申告ガイド|所得区分(雑所得か事業所得か)・経費・消費税まで

更新:2026年7月2日6分で読めます会計ソフト

Airbnbや Booking.com などで民泊(住宅宿泊事業)の収入を得たら、確定申告はどうすればよいのでしょうか。民泊の税務は「不動産の家賃収入」と混同されがちですが、国税庁は民泊による所得を原則として雑所得と整理しており、通常の不動産所得とは扱いが異なります。所得区分を間違えると、青色申告特別控除の適用可否や損失の扱いまで変わってしまいます。

この記事では、国税庁の公表情報をもとに、民泊収入の所得区分・確定申告が必要になるライン・経費と家事按分・消費税(インボイス)の考え方・会計ソフトでの記帳方法までを一つずつ整理します。

免責事項:本記事は民泊を運営する個人・小規模事業者向けに一般的な情報をまとめたものであり、特定の状況に対する税務上の助言ではありません。所得区分や経費の可否は運営形態・規模・契約関係によって個別に判断が分かれます。実際の申告にあたっては、国税庁の公式情報を確認のうえ、必要に応じて税務署または税理士にご相談ください。

民泊の収入は何所得?——原則は「雑所得」

国税庁は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行に合わせて公表した情報の中で、自己が居住する住宅を利用して行う住宅宿泊事業(民泊)による所得は、原則として雑所得に区分されるという考え方を示しています。

家賃収入(不動産所得)と違う扱いになる理由は、民泊が単なる「場所の貸付け」ではなく、清掃やリネン交換、鍵の受け渡し、ゲスト対応といった宿泊サービスの提供を伴うためです。

ただし、次のような例外も同じ情報の中で示されています。

運営の実態所得区分の目安
自宅の空き部屋などで民泊を行う(一般的なケース)雑所得(原則)
不動産賃貸業を営む人が、賃貸契約の合間に一時的に民泊を行う不動産所得に含めて差し支えない
専ら民泊による所得で生計を立てているなど、事業として行っていることが明らか事業所得

自分がどれに当たるかは、運営規模・継続性・生計への寄与度などの実態で判断されます。判断に迷う場合は、申告前に税務署か税理士に確認しておくのが安全です。

「雑所得」だと何が変わるのか

所得区分は、単なるラベルの違いではありません。雑所得に区分されると、事業所得・不動産所得と比べて次の違いがあります。

項目雑所得事業所得・不動産所得
青色申告特別控除(最大65万円)適用なし要件を満たせば適用あり
損失(赤字)の他の所得との損益通算原則不可一定の範囲で可能
帳簿・書類収入規模により保存義務あり(後述)記帳・帳簿保存義務あり

つまり「民泊の赤字を給与所得と相殺して節税する」といった使い方は、雑所得である限り原則できません。また、青色申告の65万円控除も雑所得には適用されないため、「青色申告するために開業届を出せば有利」と単純には言えない点に注意が必要です。

なお、令和4年分以後は雑所得の規模による事務負担のルールが整理されており、前々年の雑所得の収入金額が300万円を超える場合は現金預金取引等関係書類の保存義務1,000万円を超える場合は収支内訳書の添付が求められます。民泊の売上が伸びてきたら、この基準も意識しておきましょう。

確定申告が必要になるライン

会社員が副業として民泊を行う場合、給与以外の所得(収入から経費を引いた額)が年20万円を超えると所得税の確定申告が必要です(いわゆる20万円ルール)。

ここで注意したいのは次の2点です。

  • 20万円の判定は「収入」ではなく「所得(収入−必要経費)」で行う
  • 所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要(20万円以下でも市区町村への申告義務はある)

専業で民泊を営む場合や、他の所得と合わせて申告義務がある場合は、金額にかかわらず通常どおり確定申告を行います。

民泊の必要経費一覧と「家事按分」

民泊の所得は「収入金額 − 必要経費」で計算します。民泊でよく発生する経費の例は次のとおりです。

経費の例摘要
OTA手数料Airbnb・Booking.com などのプラットフォーム手数料
水道光熱費・通信費自宅兼用の場合は按分が必要
清掃費・リネン代外注清掃、クリーニング、消耗品
備品・消耗品費アメニティ、寝具、食器、スマートロックなど
PMS・管理ツール利用料予約管理システム、サイトコントローラー
減価償却費家具家電など10万円以上の資産
固定資産税・火災保険料・住宅ローン利息自宅兼用の場合は民泊利用分のみ按分

家事按分の考え方

自宅の一部で民泊を行う場合、水道光熱費や固定資産税などは生活用と事業用が混在するため、民泊に対応する部分だけを経費にします(家事按分)。按分の基準としては、

  • 床面積の割合(民泊に使っている部屋の面積 ÷ 総床面積)
  • 稼働日数・時間の割合(年間の営業日数 ÷ 365日)

などを組み合わせ、合理的に説明できる基準で計算します。「なんとなく50%」のような根拠のない按分は、税務調査で否認されるリスクがあります。計算根拠はメモや計算表として必ず残しておきましょう。

消費税とインボイスの扱い——「住宅の貸付け」の非課税にはならない

意外と見落とされやすいのが消費税です。通常の住宅の家賃は消費税が非課税ですが、民泊の宿泊料は「住宅の貸付け」ではなくホテルや旅館と同じ宿泊サービスとして課税対象になります(国税庁タックスアンサー No.6226)。

  • 基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として免税事業者のままでよい
  • インボイス(適格請求書発行事業者)に登録するかどうかは任意。ゲストの大半が個人旅行者であれば、インボイス発行を求められる場面は限定的
  • インボイス登録して課税事業者になった場合は、2割特例(売上税額の2割を納税額とする経過措置)の対象期間・要件を確認する

事業者の状況によって有利不利が変わる論点なので、売上が伸びてきた段階で一度整理しておくことをおすすめします。

会計ソフトでの記帳方法——民泊は「取引の数」が多い

民泊は、OTAからの入金、清掃外注、備品購入、光熱費と、少額の取引が毎月大量に発生するビジネスです。手作業やExcelでの記帳は早い段階で限界が来るため、クラウド会計ソフトの利用が現実的です。

  • freee会計/マネーフォワード クラウド確定申告:銀行口座やクレジットカードを連携すると明細が自動で取り込まれ、勘定科目の推測まで行われます。OTA手数料や清掃費のような繰り返し取引は自動仕訳ルールを作ると、月々の記帳がほぼ自動化できます。
  • 事業用の口座・カードを分ける:民泊の支払いを事業用クレジットカードに寄せておくと、生活費と混ざらず按分・仕訳が大幅に楽になります。カード明細がそのまま経費の一覧になるイメージです。
  • 雑所得の場合も、収入・経費の根拠資料(明細・領収書)の保存は必要です。会計ソフトに取引データを集約しておけば、収入300万円超で求められる書類保存にもそのまま対応できます。

よくある質問

Q. Airbnbからの入金額をそのまま収入にすればよいですか?

A. 注意が必要です。OTAからの入金は手数料が差し引かれた後の金額であることが多く、税務上は「宿泊料の総額を収入」「手数料を経費」として両建てで記帳するのが原則的な整理です。入金額だけを収入にすると、収入も経費も過少に計上されます。

Q. 民泊で赤字になったら給与と相殺できますか?

A. 雑所得に区分される場合、損失は他の所得と損益通算できないのが原則です。「初年度は備品購入で赤字だから節税になる」という見込みは、雑所得では成り立たない点にご注意ください。

Q. 開業届や青色申告承認申請は出すべきですか?

A. 民泊が雑所得に当たる場合、青色申告特別控除は適用されないため、「青色申告のためだけに開業届を出す」効果は限定的です。事業所得・不動産所得に該当し得る規模・形態かどうかを含めて、税理士に相談する価値のある論点です。

まとめ

  • 民泊(住宅宿泊事業)の所得は原則として雑所得。不動産賃貸業の合間の一時的民泊は不動産所得、専業で生計を立てる場合は事業所得となる例外がある
  • 雑所得は青色申告特別控除の適用なし・損益通算は原則不可。所得区分で税務上の扱いが大きく変わる
  • 経費はOTA手数料・清掃費・按分した光熱費や固定資産税など。按分根拠は必ず記録に残す
  • 宿泊料は消費税の課税対象(住宅家賃の非課税とは別物)。売上1,000万円が一つの目安
  • 取引数が多い民泊は、クラウド会計ソフト+事業用カードへの支払い集約で記帳を自動化するのが現実的

制度の詳細や最新の取り扱いは、国税庁の公式情報および税務署・税理士への相談でご確認ください。

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出典・参考

経理コンパス編集部

業務系SaaS(会計・勤怠・CRM)の利用・導入支援の経験/不動産業界での実務経験

中小企業の経理・バックオフィス担当者が、本当に自社に合うクラウドソフトを選べるように。公式情報と実際の使用感、そして制度(インボイス・電子帳簿保存法)への対応状況を、できるだけ中立に整理して発信しています。

※本記事は各サービスの公式情報および公的機関の公表資料をもとに作成しています。

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