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立会人型と当事者型の違い|電子契約の方式をやさしく比較

更新:2026年6月6日6分で読めます電子契約サービス

「電子契約に切り替えたいけれど、サービスごとに『立会人型』『当事者型』と書いてあって、どちらを選べばいいのか分からない」。中小企業の経理担当者の方から、こうした声をよくお聞きします。結論からお伝えすると、まずは違いを「印鑑のたとえ」で押さえ、自社の取引にどちらが合うかを判断するのが近道です。本記事では、両方式の仕組みと向き不向き、保管の注意点、選び方のチェックポイントを順に解説します。

本記事は一般的な情報提供を目的とした解説であり、法的助言ではありません。個別の契約が有効に成立するかどうか、また自社の運用が法令に適合しているかどうかは、弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。記載内容は執筆時点の一般的な理解に基づいています。

大前提:契約は「方式自由」が原則

まず押さえておきたいのは、日本の契約には原則として「方式自由」という考え方があるという点です。方式自由とは、契約を結ぶときに紙や押印といった特定の形式が法律上いつも求められるわけではなく、当事者の合意があれば成立する、という考え方を指します。

そのため、電子契約も適切に運用すれば、紙の契約と同じように有効に機能すると一般に理解されています。理由は、合意の内容と「誰が合意したか(本人性)」、「いつ・どんな内容だったか(証跡)」を後から確認できる状態にしておけば、契約としての信頼性を確保できるからです。

たとえば、後日「そんな契約はしていない」と言われたときに、本人確認の記録や改ざんされていない証拠を示せれば、対応がしやすくなります。だからこそ、電子契約では「本人性」と「証跡」をどう担保するかが要になり、その担保の仕方の違いが、これから説明する立会人型と当事者型の分かれ道になります。

立会人型と当事者型は何が違うのか

電子契約の方式は、大きく「立会人型」と「当事者型」の2つに分かれます。違いを一言でいえば、「誰が電子署名をするか」と「本人確認の厳しさ」です。

立会人型(事業者署名型)とは、契約サービスを提供する事業者が、契約当事者の指示にもとづいて事業者名義の電子署名を付与する方式です。電子署名とは、紙の押印やサインに相当する、電子文書が本人の意思で作られたことを示す仕組みを指します。当事者本人はメール認証(届いたメールのリンクを開いて同意ボタンを押す方法)などで意思を示すだけで済みます。

一方の当事者型(電子証明書型)とは、契約する当事者それぞれが、自分の電子証明書を使って自ら署名する方式です。電子証明書とは、第三者の認証機関が本人確認をしたうえで発行する、いわば電子版の印鑑証明書にあたるものです。印鑑にたとえると、立会人型は「認印」、当事者型は「実印+印鑑証明」に近いイメージと説明されることが多いです。

表で比較する3つのポイント

両者の違いを、手軽さ・本人性・利用場面の3点で整理すると次のようになります。自社の取引にどちらが近いかを見るときの目安にしてください。

比較項目立会人型(事業者署名型・メール認証)当事者型(電子署名・電子証明書)
署名する主体契約サービス事業者(当事者の指示にもとづく)契約当事者それぞれが自分で署名
本人確認の方法メール認証・SMS認証など認証機関が発行する電子証明書
手軽さ高い(相手はメールのリンクから同意するだけ)事前に証明書の準備が必要で手間がかかる
本人性の担保標準的(印鑑でいう認印に近い)より厳格(印鑑でいう実印に近い)
相手方の負担小さい(アカウント登録が不要な場合が多い)大きい(相手も証明書の用意が必要)
主な利用場面取引先が多い日常的な契約・申込書など重要度の高い契約や厳格な本人確認が求められる場面

なお、立会人型であっても、当事者の指示にもとづいて付与された電子署名は有効に働くという考え方が一般に示されています。ただし個別の契約での有効性は事情によって変わるため、判断に迷う場合は専門家への確認をおすすめします。

それぞれが向いている場面

向き不向きは、契約の「重要度」と「取引先の数」で考えると整理しやすいです。理由は、この2つが手軽さと本人性のどちらを優先すべきかを左右するためです。

立会人型が向いているのは、取引先が多く、スピードを重視したい日常的な契約です。たとえば、業務委託の発注書、申込書、定型的な利用規約への同意などが該当します。相手方はメールを受け取って同意するだけなので、導入のハードルが低く、契約完了までの時間も短くなりやすいのが利点です。

当事者型が向いているのは、金額が大きい取引や、後日の本人確認が特に重要になる契約です。相手にも電子証明書の準備をお願いする必要があるため手間は増えますが、その分、本人性の担保は厚くなります。実務では、両方式を使い分けられるサービスを選び、契約の重要度に応じて切り替える企業も少なくありません。自社にどちらが合うか迷う場合は、当サイトの無料診断で取引の特徴から向いている方式の目安を確認できます。

まず立会人型から検討する、という現実的な流れ

中小企業の場合、最初の一歩としては立会人型から検討するのが現実的です。理由は、コストと導入の手間を抑えながら、電子契約のメリットを早く実感しやすいからです。

具体的には、立会人型は相手方にアカウント登録を求めないケースが多く、社内外への説明もシンプルに済みます。まず日常的な契約を立会人型で電子化し、特に厳格な本人確認が必要な契約だけ当事者型を併用する、という段階的な進め方であれば、無理なく移行できます。最初から完璧な体制を目指すより、使いながら自社に必要な要件を見極めていく方が、結果的に定着しやすいといえます。

証跡とタイムスタンプ、電子帳簿保存法に沿った保管

方式の選択と並んで大切なのが、契約後の「証跡」と「保管」です。なぜなら、電子契約は締結して終わりではなく、後から内容と日時を証明できる状態を保つことに意味があるからです。

ここで鍵になるのがタイムスタンプです。タイムスタンプとは、その文書が「ある時刻に確かに存在し、その後改ざんされていない」ことを示す電子的な記録を指します。多くの電子契約サービスでは、署名と合わせて誰がいつ操作したかの履歴(証跡)が残る仕組みになっており、これが後日のトラブル対応の支えになります。

さらに、電子で受け取った契約書などは、電子帳簿保存法に沿った形で保管する必要があります。電子帳簿保存法とは、帳簿や取引関係の書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。電子取引のデータは原則としてデータのまま、検索できる状態で保存することが求められるため、サービス選びの段階でこの要件に対応しているかを確認しておくと安心です。具体的な保存方法の適否は、税理士などの専門家に確認することをおすすめします。

失敗しない選び方のチェックポイント

最後に、サービスを選ぶときに見ておきたいポイントを整理します。先に結論を挙げると、「受信側の負担」「保管要件への対応」「無料プランやトライアルの活用」の3つです。

第一に、受信側、つまり契約相手の負担を確認しましょう。自社が使いやすくても、相手にアカウント登録や証明書準備を求める方式だと、契約が進みにくくなることがあります。第二に、前章で触れた電子帳簿保存法への対応や、タイムスタンプ・証跡の機能が備わっているかを確認します。第三に、無料プランや無料トライアルを活用し、実際の操作感を試してから本格導入するのがおすすめです。

実在のサービスとしては、クラウドサイン、GMOサイン、freeeサイン、Docusignなどが知られています。立会人型が中心のものもあれば、立会人型と当事者型の両方を選べるものもあり、対応範囲や料金体系はサービスごとに異なります。

確認ポイント見るべき内容中小企業での考え方
対応方式立会人型のみか、当事者型も選べるかまず立会人型、必要に応じて当事者型を併用
受信側の負担相手のアカウント登録・証明書準備の要否負担が小さいほど契約が進みやすい
保管・証跡電子帳簿保存法対応、タイムスタンプの有無後日の証明に直結するため要確認
料金体系月額・送信件数あたりの費用契約件数の見込みから試算する
お試し無料プラン・トライアルの有無操作感を確かめてから本格導入

どのサービスが自社に合うか判断しきれないときは、当サイトの無料診断もご活用ください。取引の特徴や契約件数から、検討の出発点となる方式の目安を整理できます。

まとめ

  • 契約は方式自由が原則で、電子契約も本人性と証跡を適切に担保すれば有効に機能すると一般に理解されています。
  • 立会人型は事業者が署名しメール認証で確認する「認印」に近い方式、当事者型は当事者が電子証明書で署名する「実印」に近い方式です。
  • 取引先が多く手軽さを重視するなら立会人型、厳格な本人確認が必要なら当事者型が向いています。
  • 中小企業はまず立会人型から検討し、必要な契約だけ当事者型を併用する段階的な進め方が現実的です。
  • タイムスタンプや証跡を残し、電子帳簿保存法に沿ってデータのまま保管することが大切です。
  • 個別の契約の有効性や保管方法の適否は、弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。

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経理コンパス編集部

業務系SaaS(会計・勤怠・CRM)の利用・導入支援の経験/不動産業界での実務経験

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