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簡易課税と本則課税の選び方|インボイス後の判断ポイント

更新:2026年6月21日5分で読めます請求書発行ソフト

消費税の申告方法を選ぶとき、多くの中小企業や個人事業主の方が迷うのが「本則課税」と「簡易課税」のどちらを選ぶかという点です。結論からお伝えすると、仕入や経費の多さ、自社の業種、そして事務作業にかけられる手間によって、有利になりやすい方式は変わります。本記事では、2つの計算方法の違いと、インボイス制度後の判断ポイントを、できるだけやさしく整理します。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務上の判断や助言を行うものではありません。実際の選択にあたっては、必ず最新の法令を国税庁の情報でご確認いただくとともに、具体的な判断は税理士などの専門家にご相談ください。

消費税の納税額には2つの計算方法がある

消費税を納める事業者(課税事業者)が納税額を計算する方法には、大きく分けて「本則課税(原則課税)」と「簡易課税」の2つがあります。理由は、すべての事業者に同じ計算を求めると、特に小規模な事業者の事務負担が重くなりすぎるためです。

そこで、原則となる計算方法に加えて、一定の条件を満たす事業者が選べる簡便な方法が用意されています。どちらを選ぶかによって、納める税額や日々の経理作業の手間が変わってきます。

ここでいう「課税事業者」とは、消費税を納める義務がある事業者のことです。まずはこの2方式の基本的な考え方を押さえておきましょう。

本則課税(原則課税)とは

本則課税とは、売上のときに受け取った消費税から、仕入や経費のときに支払った消費税を差し引いて納税額を計算する方法です。これが消費税の原則的な計算方法にあたります。

たとえば、商品やサービスを販売して受け取った消費税が100あり、仕入や経費で支払った消費税が60あったとします。この場合、差額の40が納める税額の目安になる、というのが基本的なイメージです。

ここで出てくる「課税仕入」とは、消費税がかかる仕入や経費の支払いのことを指します。本則課税では、この課税仕入にかかった消費税を一つひとつ集計する必要があるため、帳簿づけや書類の保存といった事務作業はやや多くなる傾向があります。

簡易課税とは

簡易課税とは、実際に支払った消費税を集計せず、売上にかかる消費税に「みなし仕入率」をかけて納税額を計算する方法です。仕入の消費税を細かく計算しなくてよいため、事務負担を軽くできる点が特徴です。

「みなし仕入率」とは、業種ごとに「これくらいの割合の仕入があるとみなす」と定められた率のことです。この率は、卸売業・小売業・製造業・サービス業などの「事業区分」に応じて決められています。

たとえば、売上にかかる消費税にこのみなし仕入率をかけた金額を、仕入で支払った消費税とみなして差し引く、という仕組みです。実際の仕入額がいくらであっても、計算は売上をもとに行われる点が本則課税との大きな違いです。なお、みなし仕入率の具体的な数値は変わることがあるため、最新の率は国税庁の情報で確認してください。

簡易課税を選べる条件

簡易課税はすべての事業者が使えるわけではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。理由は、この制度が小規模な事業者の負担軽減を目的としているためです。

主な条件は、次の2つです。ひとつは「基準期間の課税売上高」が一定額以下であること、もうひとつは事前に税務署へ届出を行っていることです。「基準期間」とは、納税額の計算の基準となる過去の一定期間を指します。

項目本則課税(原則課税)簡易課税
納税額の計算受け取った消費税から実際に支払った消費税を差し引く売上の消費税にみなし仕入率をかけて計算
仕入・経費の集計必要(課税仕入を個別に集計)不要(売上をもとに計算)
事務負担やや多くなる傾向比較的軽い傾向
利用できる事業者課税事業者全般売上高が一定額以下+事前の届出が必要
業種による違い直接の影響は小さい事業区分でみなし仕入率が変わる

重要なのは、届出には提出の期限がある点です。原則として、適用を受けたい課税期間が始まる前までに届け出る必要があります。売上高の具体的なラインや届出の細かいルールは変更されることもあるため、必ず国税庁のサイトや税理士に確認してください。

どちらを選ぶか:基本的な考え方

選び方の基本は、「実際の仕入や経費の消費税」と「みなし仕入率で計算した金額」のどちらが大きくなりやすいかを比べることです。差し引ける金額が大きいほど、納税額は少なくなる傾向があるためです。

一般論として、仕入や外注費などの経費が多い業種は、実際の支払いを差し引ける本則課税のほうが有利になりやすいと言われます。一方で、仕入が少なくサービス中心の業種は、みなし仕入率で計算する簡易課税のほうが有利になりやすい傾向があります。

ただし、これはあくまで一般的な傾向にすぎません。設備投資が多い年だけ本則課税が有利になるケースなど、その年の状況によって結果は変わります。具体的な有利・不利の判断は、必ず税理士にご相談ください。

インボイス制度下での留意点

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始により、判断のポイントがやや複雑になりました。インボイス制度とは、一定の要件を満たした請求書(適格請求書)の保存を、仕入税額控除の条件とする仕組みです。

本則課税では、原則として取引先から受け取ったインボイスの保存が、消費税を差し引くための前提になります。そのため、取引先がインボイスを発行できるかどうかも、実務上の検討材料になります。

これに対して簡易課税は、売上をもとに計算するため、仕入側のインボイスの有無に左右されにくいという特徴があります。なお、制度開始にあわせて負担を和らげるための経過的な措置も設けられていますが、内容は期間によって異なります。最新の取り扱いは国税庁の情報で確認し、自社にどう影響するかは税理士に相談すると安心です。

自社に合う判断のために

ここまで見てきたとおり、どちらの方式が向いているかは、業種・仕入の多さ・事務負担への考え方・取引先の状況など、複数の要素で変わります。一度選ぶと一定期間は変更しにくい場合もあるため、慎重に検討することが大切です。

経理や申告まわりを整えるうえでは、自社に合った会計ソフトを選んでおくと、日々の記帳や消費税の集計がぐっと楽になります。当サイトでは、会計ソフト選びをサポートする無料診断をご用意していますので、ソフト選びに迷っている方はあわせてご活用ください。

まとめ

  • 消費税の納税額の計算には「本則課税(原則課税)」と「簡易課税」の2方式があります。
  • 本則課税は実際に支払った消費税を差し引く方法、簡易課税は業種ごとのみなし仕入率で計算する方法です。
  • 簡易課税は、基準期間の課税売上高が一定額以下であることに加え、事前の届出が必要です。
  • 一般論として、仕入や経費が多い業種は本則課税、仕入が少ない業種は簡易課税が有利になりやすい傾向があります。
  • インボイス制度下では、本則課税はインボイスの保存が前提となる一方、簡易課税は仕入側の影響を受けにくい特徴があります。
  • みなし仕入率や売上高の基準などの具体的な数値は変わることがあるため、最新情報は国税庁で確認し、具体的な判断は税理士にご相談ください。

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出典・参考

経理コンパス編集部

業務系SaaS(会計・勤怠・CRM)の利用・導入支援の経験/不動産業界での実務経験

中小企業の経理・バックオフィス担当者が、本当に自社に合うクラウドソフトを選べるように。公式情報と実際の使用感、そして制度(インボイス・電子帳簿保存法)への対応状況を、できるだけ中立に整理して発信しています。

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